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カスタマーサクセス(CS)の繁忙期リソース不足、変動費化で解決する方法

カスタマーサクセス(CS)の繁忙期リソース不足、変動費化で解決する方法

「3月末から4月にかけて、オンボーディングが一気に来すぎて正直パンクしかけた」

CSを担う方なら、一度はこういう経験があるのではないでしょうか。

問題は「忙しかった」ことではなく、その波が過ぎたあとも、増やした人員の人件費がそのまま残り続けることです。

SaaSビジネスは、安定した月次収益(MRR)が魅力のモデルです。

しかしその裏で、CS部門のリソース管理は意外なほど「不安定」です。
顧客の決算時期や年度末に合わせてオンボーディングが集中し、閑散期には打って変わって静かになる。

この繁閑の波に、CS組織はずっと振り回されています。

本記事では、この波に対して「採用で解決しようとすること」のリスクと、もう一つの選択肢について整理します。


繁忙期に合わせて採用すると、何が起きるか

「今期こそCSを強化したい。でも採用してもまた閑散期に手が余る……」

繁忙期のリソース不足を感じたとき、多くのCS責任者が最初に考えるのは採用です。

確かにそれは一つの正解です。
しかし、採用には見落とされがちなコスト構造があります。

採用したメンバーは、繁忙期が終わっても当然そのまま在籍します。

人件費は毎月固定でかかり続けます。
閑散期に「仕事が少ない状態」が続いても、コストは動きません。

採用にかかるコストは人件費だけではありません。

求人媒体への掲載費や人材エージェントへの紹介手数料だけで数十万円〜百万円規模になることも珍しくなく、入社後の研修・立ち上がり期間を含めると、戦力化までに3〜6ヶ月かかるケースがほとんどです

繁忙期に間に合わせようとして採用を急ぐほど、ミスマッチや早期離職のリスクも高まります。

これをSaaSの文脈で考えると、より深刻です。

サブスクリプション型のビジネスは、粗利率の高さが強みです。
しかしCS部門の固定費が膨らむほど、その粗利は削られていきます。

LTV(顧客生涯価値)を最大化したくても、組織のコスト構造がそれを阻む、という矛盾が生じます。

「繁忙期に採用する」という判断は、短期的な問題を長期的な固定費リスクに変換しているとも言えます。


「ツールで自動化すればいい」が通用しない理由

では、採用を抑えながらリソース問題を解決するために「テックタッチ(FAQやステップメールの自動化)を強化すればいい」という考え方はどうでしょうか。

これは理論上は正しいのですが、現場では一つの壁にぶつかります。

顧客がSaaSの利用を諦める最大のタイミングは、導入直後の初期設定です。

データの移行、アカウントの設定、過去の紙書類の電子化。

これらは「やり方を案内する」だけでは解決しません。
顧客側に、それをやる時間と人手が必要です。

実際、SaaS企業の解約理由を調査した複数のレポートでは、

「使いこなせなかった」
導入時の手間が大きかった」

このような理由が上位に挙がり続けています。

機能への不満よりも、「使い始めるまでの摩擦」が解約を引き起こしているのです。

「FAQを読んでください」と案内したとしても、忙しい顧客の手は動きません。結果として、システムはほぼ使われないまま、価値を感じる前に解約に至ります。

いわゆるサイレントチャーン(無言の解約)です

ツールは、すでに動いている顧客の体験をより良くするためには有効です。
しかし、まだ動けていない顧客を動かすためには、人の手が必要です。

テックタッチは、人の代替ではなく補完です。

固定費を変動費に変える、ハイブリッド運用の考え方

「採用もツールも限界があるなら、どうすればいいのか」

採用でも、ツール一辺倒でもない第三の選択肢が、外部リソースを活用したハイブリッド運用です。

考え方はシンプルです。

  • 自社CSメンバー:重要顧客との深い関係構築や、戦略的な意思決定に集中させる
  • 外部BPO:繁忙期に集中する初期設定支援・データ入力・定型フォロー対応を担う

繁忙期だけ体制を拡張し、閑散期には縮小する。
これにより、固定費を増やさずにリソースの波に対応できます。

自社メンバー1名あたりの年間人件費を600万円と仮定すると、繁忙期の3ヶ月だけ外部BPOを活用した場合のコストは、正社員を1名追加採用するケースと比較して大幅に抑えられます。

さらに採用にかかる時間・教育コスト・離職リスクを加味すると、その差はさらに広がります。

ただし、この設計が機能するためには、外部パートナーが「言われたことをやるだけ」の業者ではいけません。

顧客対応の現場で気づいた課題を自社にフィードバックし、マニュアルや業務フローを自律的に改善できる、当事者意識を持ったパートナーである必要があります。

そうでなければ、外部に任せた領域がそのまま新たなブラックボックスになるだけです。

CSerBPOが実際に担う支援の中身

「BPOに頼みたいが、どこまで任せられるのかイメージが湧かない」

CSerBPOが実際に担っている支援の範囲は、一般的な「問い合わせ対応代行」よりもずっと広いものです。具体的には以下のような業務を、クライアントのCS組織と並走しながら実行しています。

オンボーディング支援

初期設定の代行、旧システムからのデータ移行、アカウント発行作業など、顧客が最もつまずきやすい「導入の壁」を物理的に取り除きます。
顧客が「使い始められる状態」を最短で作ることが目的です。

定期フォロー対応

利用率が下がっている顧客への定期的な接触や、更新時期が近い顧客への事前フォローを型化して実行します。
CS担当者が見落としがちな「静かに離れていく顧客」への先回りアプローチを担います

VoC (顧客の声)の収集・整理

日々の対応の中で拾った顧客の要望・不満・疑問を構造化し、クライアントの開発チームや経営陣にフィードバックします。
現場の声がプロダクト改善に直結する仕組みを、業務フローとして組み込みます。

これらは「指示された作業を消化する」のではなく、クライアントのCS組織が本来やりたかったことを、代わりに実行するという姿勢で取り組んでいます。

うるるグループが自社サービスであるfondeskやNJSSを実際にグロースさせてきた経験が、この「当事者目線の実働」を支えています。

CSerBPOが提案する解決の鉄則

  • 「繁忙期の採用」を反射的に選ばない:固定費化のリスクを先に試算してから判断する
  • テックタッチは「動けている顧客向け」と割り切る:動けていない顧客には人の手を使う
  • 外部リソースを「変動費として設計する」:必要な時期だけ拡張・縮小できる体制を持つ
  • 外部パートナーに「当事者目線」を求める:作業を消化するだけでなく、改善を提案できる相手を選ぶ

まとめ

「いまのCS体制、このまま来期の繁忙期を迎えて大丈夫だろうか・・・」

CS組織のリソース問題は、採用かツールかという二択で考えると、どちらを選んでも別のリスクが残ります。

繁忙期に必要なのは「恒久的な増員」ではなく「その時期だけ機能する実行力」です。
そしてその実行力は、固定費ではなく変動費として持てる時代になっています。

自社CSメンバーがコア業務に集中できる環境を整えながら、波のある実務を外部で受け止める。

この設計が、LTVを守りながらCS組織をスケールさせる、現時点での現実解だと私たちは考えています。

CS体制の見直しを検討されている方は、まず現状の業務の棚卸しから始めてみてください。

『どこが固定費で、どこが変動費にできるか』その整理だけでも、次の打ち手が見えてきます。

今年の繁忙期を乗り越え、持続可能なスケーラブルなCS組織への変革を、私たちと一緒に第一歩を踏み出しませんか?

▼「LTV最大化について」はこちらの記事でも読めます
【KPI】LTV最大化の施策

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自社のCS業務、一体どこからが外注できて、どこを残すべきなのか?
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編集後記

この記事を書くにあたって、「繁忙期のリソース不足」というテーマを調べれば調べるほど、多くのCS担当者が同じ場所で詰まっていることに気づきました。

採用したくても採用できない、ツールを入れても顧客が動かない、でも手は足りない。

その三重苦とも言える状況は、決して個別の会社の問題ではなく、SaaSビジネスの構造そのものが生み出している課題なのだと感じます。

「繁忙期だけ人が欲しい」という需要は昔からあるのに、それをきれいに解決する仕組みがなかなか広まらないのは、採用以外の選択肢がまだ十分に知られていないからかもしれません。

固定費と変動費という視点でCS組織の体制を見直すだけで、打てる手の幅がぐっと広がります。

この記事が、CS体制を見直すきっかけの一つになれば嬉しいです。繁忙期が来る前に、一度自社の業務を棚卸ししてみてください。